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ムスメミユキ
 
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  • ノルウェッヘーの森

  • 2009年05月28日木曜日 | カテゴリー:ムスメミユキ


    仙台行きの飛行機の中で、僕は小さな窓の向こうに見える静岡周辺を見ていた。
    真夏のランチ・タイムの太陽は、小さく波がきらめく海と、深く暗い山と、白く無機質な街を、くっきりと飛行機の下に浮かび上がらせ、たしかに空からは少し霞がかかっているように見えるが、きっと地上からすると快晴だろうと思った。
    機内に目をやると、ふるさとへ帰るのだろうか、若い夫婦らしき男女が、小さな子供を抱えて外を見ている。その後ろではサラリーマン風の男が、同僚もしくは監視員がいない機内でも、パソコンを開いてせっせと仕事をしている。その横では、老婦人たちがぺちゃくちゃとおしゃべりをしている。時折それにサラリーマンが忌々しい視線を向ける。
    この機内にはいくつもの人生がある、あたりまえだけど。
    僕がつけた飛行機の安っぽいイヤホン(消毒済みだと書いてあるが怪しいものだ)からは、ズートルビのノルウェッヘーの森が聞こえていた。

    助けが要らないなんてうそさ
    ねえ振り向いて ほんとは誘って欲しいのさ
    世界には60億人の人がいるけど
    僕はいったい そのうちの何人と関われるだろう
    あとどれぐらい 人を傷付けたら
    僕は人を理解し 愛することができるだろう

    僕が思っていたほど 現実は甘くはないけれど
    僕が思っていたほど 人は残酷じゃない
    いつかはきっと君もわかるだろう
    それほど世界が美しくないことに

    時が過ぎ人も過ぎていく
    僕に残るのは思い出と記録だけ

    だから

    ノルウェッヘーの森へ行こう
    そこは森だから お金は要らない
    そこは森だから 夢も要らない
    そこは森だから 友も要らない
    ノルウェッヘーの森へ行こう
    ノルウェッヘーの森へ行こう

    いらない妄想ばかりして 僕はまた殻にこもる
    頭の中身は 君の事だけでぐらぐらしてる
    真実の中で僕の思いに 何の意味があるだろう
    何気ない言葉に 時が過ぎ
    僕は取り残されて あたりを見渡して
    それは僕のむなしい 幻だったことを知る

    ノルウェッヘーの森へ行こう
    そこは森だから 蔑むこともなく
    そこは森だから 妬むこともなく
    そこは森だから 楽しいこともない
    ノルウェッヘーの森へ行こう
    ノルウェッヘーの森へ行こう
    そこは森だから お金は要らない
    そこは森だから 夢も要らない
    そこは森だから 友も要らない
    ノルウェッヘーの森へ行こう
    ノルウェッヘーの森へ行こう

    きっと美しい ノルウェッヘーの森へ


    「なるとも」が終わる。
    僕には最初、その言葉の意味がわからなかった。
    僕にとって「なるとも」は不可侵な存在であり、そしてもっとも身近な生活の糧でもあったのだ。
    「なるとも」が終わる。
    時折、脳裏をかすめるその事実を、脳の中の僕はそのたびにそれをかき消し、踏み潰し、どこか隅のほうへ蹴っ飛ばして、そしてひと時の安息を得た。
    だけどそれはひと時の安息でしかなく、なにかの拍子でその「事実」は、ひどく鮮明に、ときに暴力的に、時に叙述的に、僕の意識の中のよく見える部分に姿を現した。
    僕の中の事実をいくらかき消したところで、実際の事実が変わることなんてないのに。


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